ここ数年、戦争状態だったフランスとの講和がなることになり、フランスから海軍提督のダンボールが協定締結のために宮廷にやってきた。ヘンリーの健康状態が思わしくなく、その名代を王子は立派に務めた。 ヘンリーは病気がちでめっきり老け込み、誰の目にももう長くは持たないことは明らかだった。そ […]
一五四五年、フランスとの戦争はまだ続いていた。めっきり衰えたヘンリーのもとに、ブーローニュで国王代理を務めていたサリーがサンテティエンヌで無謀な戦闘を試み、大敗を喫したという知らせが届く。ヘンリーは枢密院にその審問を命じ、サリーを帰国させて、エドワード・シーモアをその後任に命じる […]
ヘンリー8世率いるイングランド軍はフランスへ侵攻しブーローニュの町を包囲していたが、兵士たちの間に赤痢が蔓延して死亡者が続出したため兵力が急激に落ちてしまっていた。イタリア人工学技師ジローラモ・トレヴィソの案でブーローニュの城壁の真下に向けて掘っていたトンネルは未だ完成せず、兵士 […]
皇帝とフランス侵攻に乗り出す決意を固めたヘンリー8世は、手始めにブーローニュを攻略することにした。総司令官にブランドンを、ついでトマス・シーモアを海軍提督、サリーを陸軍元帥に任命する。スペインから皇帝特使のナヘラ公爵が宮廷を訪れ、対仏同盟が結ばれた。 ヘンリーはキャサリン・パーと […]
ハンズドン館では、ヘンリー8世の娘メアリーと腹違いの妹エリザベスに、うれしい知らせが舞い込んでいた。前王妃キャサリン・ハワードの処刑後、議会の法律によって王位継承権が戻ってくることになったのだ。ただしエリザベスは処刑されたキャサリンを見て結婚に幻滅し、一生独身でいることを誓う。 […]
匿名で届けられた告発状は、キャサリンが結婚前に送っていた無軌道な生活を赤裸々に暴露するものだった。おそらくデッチ上げの中傷だろうと考えつつも、念のためと調査を命じるヘンリー。「元愛人」のデーラムを逮捕させ、キャサリンには調査終了までの蟄居を命じる。浮気がバレたのかと怯えて、何も手 […]
ヘンリー王の一行は、かつての反乱「恩寵の巡礼」の本拠地のひとつであるポンテフラクト城に到着した。今回の巡幸は、北部地方の王権支配を確かなものにすることと、ヨークでスコットランドと和平条約を結ぶことが目的だった。城ではかつての反乱の指導者の一人であり、捕らえられ、忠誠の誓いをして転 […]
カルペパーとの戯れで、ヘンリー王が病に伏せっている間の無聊(ぶりょう)を慰めたキャサリン。病が癒えたヘンリーから早く子作りがしたいと言われるが、ロッチフォードの手を借りてカルペパーと密会することをやめられない。一方ヘンリーはクレーヴズのアンの館を訪れ、見違えるようにさばけて明るく […]
国王ヘンリーのキャサリンに対する寵愛は続き、キャサリンはダンスやお洒落に明け暮れる日々を送っている。そうしたダンスの夕べにも宮廷の人々の思惑は様々に絡み合っていた。キャサリンに対する王の侍従カルペパーの思いも募る一方で、キャサリンを内心馬鹿にしている侍女長のレディ・ロッチフォード […]
クロムウェルが処刑された翌年の一五四〇年夏。ロンドンは雨の降らない記録的な猛暑が続いていた。ヘンリーは非公式でキャサリン・ハワードとの結婚式をすませ、そのあと廷臣達を招いて新妻のお披露目をした。 その席には新任のフランス大使と、三年ぶりにフランスから帰国していたサリー伯爵(ヘンリ […]