ウルジーを罷免したヘンリーは国王の補佐機関である枢密院を作り、張り切って自ら政事に臨んでいたが、あらためてウルジーがいかに有能だったかを思い知らされていた。彼の心は、ノーフォークの危惧するとおり、しだいにウルジー復帰へと傾いていく。離婚裁判は膠着状態にあり、それを打開する方法とし […]
王妃不在の中、ヘンリーの結婚無効の是非をめぐる裁判は続けられた。キャサリンが前夫と肉体関係にあったことを証言する者も現れるが、決定打には欠けていた。またキャサリンは、ヘンリーに屈しろと言うウルジーの説得に応じない。王妃を応援する民衆も目立つようになった。キャサリンの弁護人フィッシ […]
教皇特使のカンペッジオ枢機卿がロンドンに到着した。法王クレメンスの代理として、ヘンリーの婚姻無効の是非を争う裁判を、ウルジーと共に行うためである。迎えたウルジーは、ヘンリーの意向に添わない裁決を出した場合は、イングランドがローマから離反するだろうとカンペッジオに脅しをかける。 ヘ […]
宮廷から離れた地にあるコンプトンの城で、コンプトンが粟粒熱に冒され死亡した。かつて深い仲にあったトマス・タリスの悲しみは深く、コンプトンのために鎮魂歌を作曲する。そんな中タリスは、作曲の合間に訪れた双子の片割れジョアンに神々しい光を見出だし、恋に落ちた。ヘンリーはフランスと再び同 […]
家門の栄達とウルジー失脚を謀るためのノーフォーク=ブーリンの共同戦線は着々と目的に近づき、アンはヘンリーの心を虜にしていた。アンは父や叔父の命令ではじめは打算で王に近づいたのだったが、ヘンリーの愛にしだいにほだされ、その心は複雑だった。ウルジーはパリに発っていった。表向きはフラン […]
トマス・ブーリンをロッチフォード子爵に叙した爵位授与式で、ヘンリーは非嫡出の息子ヘンリー・フィッツロイを、リッチモンドおよびサマセット公爵に叙した。正妻のキャサリンの娘メアリーより、愛人の息子を次期王位継承者にしたことでキャサリンは憤り、さらにメアリーの婚約者であるカール皇帝が約 […]
マーガレット王女はブランドンのエスコートでポルトガルに旅立っていった。ローマからはモアが戻り、法王に献上したルターを批判する冊子の返礼として、ヘンリーに「信仰の擁護者」の称号が下されることを告げる。またヘンリーのもとにはアン・ブーリンからの手紙と共に、彼が贈ったブローチが返されて […]
バッキンガム公爵が処刑され、あとは目障りなウルジーを追い落とすために、ノーフォーク公爵とブーリンは「アン」という手を使ってなんとかヘンリー王の歓心を買おうと画策していた。そんな折り、フランスとの協約をすませたヘンリー王のもとに、そのフランスとは敵対しているスペインの密使が訪れるこ […]
イタリアはウルビーノ公国で、ヘンリー8世の叔父がフランス兵によって殺害された。年来、フランスと敵対しているヘンリーは急ぎ諸侯を召集し、フランスへの開戦を宣言する。しかし、叔父が死んでもヘンリーの悲しみは表面だけで、王妃の侍女達と浮気をしたり、親友の廷臣達と遊び暮らしていた。王の信 […]
時代は16世紀。イングランドの若く野心的な国王ヘンリー8世は、叔父の暗殺後、フランスとの戦争を宣言し、自らの地位を確かなものにしようとしていた。 宮廷ではそんな彼のやり方をもてはやすものが多い中、次の教皇の座を狙う大法官のトマス・ウルジー枢機卿には、ヘンリー8世とは別の考えがあっ […]